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会員ZOOM 第3弾

■ 会員交流会 2013年7月31日(水)  日揮株式会社OB 岡田剛さん


韓国生まれ、島根県に引揚げ。静岡大学卒業後、エネルギープラントの計画・設計から工事まで手掛けるエンジニアリング会社に勤務し、長年海外プロジェクトのマネジメントに従事された岡田剛さんのお話を伺った。

【お話の概要】
日揮株式会社は、2013年1月アルジェリアでの人質事件で話題になり、名前を耳にした人も多いのでは。この会社は、当初石油精製を目的として戦前に創設され、その後エンジニヤリングで昭和30年代に急成長した。私が働いたのは、石油・ガスを主体にするエネルギー部門。1980年代に担当した代表的なプロジェクト、クエートの石油工場は約4kmの奥行があり、原油から軽油やディーゼルを取るなど三十以上の装置が完備された世界第一級の規模を誇る。石油の掘削から輸送、受入貯蔵、さらに原油から各種石油製品への精製、それを原料とする石油化学、天然ガスの輸送、液化、受入再ガス化と拡がる石油、ガスの分野で、必要とされる設備の設計をし、世界中から資材を調達して工場を造るのが我々コントラクターの世界だ。
 会社は多方面の専門家集団、工業化学、化学工学、金属材料、機会、回転機、地盤土木、コンクリート構造物、高電圧から微弱電流、計装、ITなど、細かな分野ごとの専門家が集まって仕事をする。誇り高い専門集団を束ねるのがエンジニア会社の特徴でもある。プロジェクト単位でものごとが動き、リーダーたるプロジェクトマネージャー(PM)の権力は絶対。予算の裁量権はPMが持ち、その指揮能力は会社の業績にも大きく影響する。もうひとつ、コンストラクションマネージャーの役割も重要。現場について大きな権限を持ち、ある意味ワンマン的な人が多いが 優秀な人材でなければ務まらない。

 最近LNG(液化天然ガス)プロジェクトについてよく耳にするだろう。メタンが主成分の天然ガスをマイナス160度まで冷やし、液化したLNGをタンカーで日本に運ぶ。それを受入基地で、海水で蒸発 再度ガス化し火力発電の燃料にする。原子力発電所の停止で発電のLNG依存は約40%にまでも高まっている。殆どの石油とガスの日本への輸送ルートはマラッカ海峡かバリ島近くのロンボク海峡を通過する。そこを抑えられたら、日本のエネルギーは壊滅状態。まるで竹馬に乗っているような不安定な状態といえる。日本のエネルギー総輸入量は19兆円。自給率の低さが問題となっている食料の総輸入量が5兆円規模なのを考えると、比べ物にもならないほどエネルギーは大きな課題だが、全然解決できていない。
環境団体は再生可能エネルギーでと訴えるが、自然エネルギーで賄えるのは全体の10%にも満たず、あとの90%をどうするかという問題を抱えているのが日本のエネルギー供給の実態なのだ。


 最後にこれまでの経験から交渉について。『交渉』は、ゲームの理論のように国際的な研究課題にもなっており、ハーバードには交渉研究所があるほど奥が深い。交渉術はその背景に国民性、文化を持っているため、国ごとにスタイルを理解しないと国際的な交渉はできない。例えば、アラブ諸国は押しの一手。
  こちらが諦めて席を立ち、ドアを閉めて出ていこうとするところで、やっと引き止められ、そこから腹を割った交渉がスタートするといった具合。アメリカは次々アイデアを出す狩猟型で押す。時間を重要視しないのがロシア系。中国では人を介して、事前の段取りをしてから交渉すべし。このように相手の特性を見て戦略を立てることが国際交渉には大変重要だ。




■ 会員交流会 2013年7月31日(水)
ゲストスピーカー はままつシャツ部代表・服飾デザイナー 水野さえ子さん

水野さえ子さん
 ゲストスピーカーは「浜松シャツ部」の発起人である水野さえ子さん。活動をスタートしたいきさつや、活動の様子、今後の夢などをお話いただいた。

【お話の概要】

 「はままつシャツ部」は、遠州織物で仕立てたはままつシャツで、地元の文化を創造したいと、2012年10月に活動をスタートした。メンバーは、生地の産元、服飾作家だけでなく、大学教授やグラフィックデザイナーなど、さまざまな職業の人が参加している。まずは種まきをしたいと瓦版やブログ、フェイスブックで情報発信をし、内覧会や展示販売会、各種イベントに参加。一般の方にモデルになってもらい、ファッションショーも実施した。それぞれ作家が作品のコンセプトなどを紹介し、見学者から感想を聞くことで、参考になる意見をたくさん頂き、大変参考になり、自分たちの励みになった。
 浜松の生地に触れてもらい、遊んでもらいたいという想いから、シャツの作り方教室も開催。また、作家同士、繊維業者や縫製業者を交え、生地やデザインについて語り合うなど、親睦を兼ねた研修会も、有意義な時間になっている。仕事もさまざま、年齢もさまざま、これまで出会うことのなかった人達が集まることで、新しい発想が生まれ、多くの経験からいろんな視点でディスカッションできることが、はままつシャツ部の面白いところだと思う。

 最終的な目標は浜松が繊維の町からシャツの街になること。1.品質の良い生地の産地であることを知ってもらう。2.地元に美しさ、心地よさ、地元愛で装う楽しさを感じてもらい、日常にうるおいを持ってもらう。3.音楽の街だけでなく、ファッションの文化創造。4.伝統産業としてのオリジナル技術と人材育成。5.雇用の創出。
これらの目標に向かって、これからじっくり活動していこうと思っている。


 2013年の7月から、和の生活雑貨店・四季彩堂 浜松有玉本店と静岡中田店で、はままつシャツが常設されることになった。活動を発信し、伝える場ができたことが大変嬉しい。メンバーと知恵を合わせて育てていきたい。ぜひ皆さんもはままつシャツに袖を通し楽しんでほしい。

 
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